2019年6月4日の「日経プラス10」で、松井証券 営業推進部 シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎さんが、下記の内容について話されていました。
過去11年間の日経平均株価と、日経平均の1株あたり純資産(BPS)の動きを見ると、日経平均株価が下げ止まる一つのポイントとしては、1株あたり純資産(BPS)が一つの目安となっている様です。
この11年間では、リーマン・ショックや、東日本大震災などもあった為、持ち株の投げ売りが発生した事により、瞬間的に1株あたり純資産(BPS)を割る事もありましたが、その後は、下げ止まって、上昇に転じています。
現在の米中貿易摩擦が発生していますが、金融機関の破綻等の事象にはなっていないので、ひとまずは、1株あたり純資産(BPS)が下げの目安と考えられるとの事で、直近のデータでは、6月3日の時点では、1株あたり純資産(BPS)は、1万9,625円となっているので、この水準まで下がると、割安圏と考えられるそうです。
昨年2018年12月末に日経平均株価が急落した時も、瞬間的には、1株あたり純資産(BPS)を割りましたが、その後は回復しているので、今回の下落のメドも、1万9,625円と予想される様です。
足元では、1株あたり純資産(BPS)は、下向きに推移していますが、1株あたり純資産(BPS)が下がる理由の一つとしては、円高要因があります。
2015年から2016年にかけて1株あたり純資産(BPS)が下落した時も、アメリカで金融の引き締めが行われると言う事で、アメリカの金利が低下して、円高ドル安方向に進み、これにより、企業の外貨建ての金融資産が目減りしてしまう事となるので、円高要因で、1株あたり純資産(BPS)が下落していました。
ただ、基本的には、日本企業の収益力は上がっているので、1株あたり純資産(BPS)は右肩上がりで、上昇していますが、今後円高が進むかを考える必要があり、今後円高が進むかどうかを判断する上では、各国の製造業景気指数(PMI)を見る必要があります。
アメリカ、日本、中国、ユーロ圏の製造業景気指数(PMI)は、右肩下がりで下落していいる状況で、日本は、各国と比べて、以前からそれほど製造業景気指数(PMI)は高くはなく、現在は、50の高不況の分かれ目で、もみ合いとなっています。
アメリカは、昨年は、トランプ大統領の減税等があり、好景気だったので、落ち込み幅が大きいだけに、利下げ余地が大きく、相対的にそれほど下がっていない、円が買われて、1ドル108円を割りましたが、今後は、6月、7月の製造業景気指数(PMI)の動きに注目する必要があるとの事です。