ROE(自己資本利益率)とPER(株価収益率)を使った投資方法は、企業の収益性と株価の評価を組み合わせて投資判断を行う手法です。以下にその概要を説明します。
●ROEを用いた投資
ROEの意味: ROEは、企業が株主から調達した資本をどれだけ効率的に使って利益を上げているかを示す指標です。高いROEは、経営効率が良く、投資価値が高いと考えられます。
ROEの目安: 多くの投資家はROEが8%以上を目安としており、この水準を超える企業は投資に値すると見なされることが多いです。
将来のROE改善を重視: 現在のROEが高い企業だけでなく、将来的にROEが改善する兆しがある企業に注目することが重要です。これは、企業の成長性や経営改善の可能性を見極めるためです.
計算式: ROE = 純利益 ÷ 株主資本
●PERを用いた投資
PERの意味: PERは、株価が一株当たりの利益(EPS)の何倍であるかを示す指標で、株価の割安度を測るために使われます。
PERの活用: 一般的にPERが低いほど株価が割安とされますが、業種や市場環境によって適正なPERは異なります。したがって、同業他社との比較や市場の平均PERと比較して判断することが重要です。
計算式: PER = 株価 ÷ 1株当たり利益 (EPS)
●ROEとPERを組み合わせた投資戦略
ROEとPERを組み合わせて企業を評価する際には、以下のポイントに注目します。
・高ROE・低PERの企業:
この組み合わせは、効率的に利益を上げながら、株価が相対的に割安である企業を示します。これらの企業は、過小評価されている可能性があり、投資機会を提供するかもしれません。
・高ROE・高PERの企業:
高いROEと高いPERを持つ企業は、高成長期待が反映されている可能性があります。投資家はその成長性に期待しているが、その分株価も高めに評価されています。これらの企業は、成長を維持できる限り、良好な投資対象となる可能性があります。
・低ROE・低PERの企業:
低いROEと低いPERを持つ企業は、一般的に市場で期待されていない、または業績が悪化している可能性があります。しかし、企業の再構築や業績改善の兆しがある場合、割安な投資機会になることもあります。
・低ROE・高PERの企業:
この組み合わせは、株価が過大評価されている可能性が高く、注意が必要です。低い収益性にもかかわらず、投資家が高い期待を寄せている場合、リスクが高い投資対象となり得ます。
●実践のポイント
セクター比較: 同一業界内でROEとPERを比較し、割安な銘柄を見つけるのが効果的です。業界ごとにROEの水準が異なるため、同業他社との比較が重要です。
トレンド分析: 企業の過去のROEとPERのトレンドを確認し、安定的に高いROEを維持しているか、PERが急騰していないかをチェックします。
リスク管理: PERが低いからと言って自動的に割安と判断せず、企業の業績や将来の見通しを総合的に評価することが重要です。
ROEとPERを使った投資は、企業の収益性と市場評価を同時に考慮できるため、バランスの取れた投資判断に役立ちます。