2016年10月11日の日経モーニングプラスで、モルガンスタンレーMUFG証券の佐藤昌司さんが「電子部品業界の業績」について話されていました。
電子部品業界の注目のポイントは、下記の3点です。
●今は、例外探しが重要
今の電子部品業界は、円高、減価償却費など、固定費の増加の影響を受けて、弱気な見方をしているそうです。
モルガンスタンレーMUFG証券調査対象の17社合計で、前年比営業利益は実質21.3%の減益で、会社予想を未達と予想しているそうです。
17社の中で、増益が見込めるのは、2社で、会社予想達成は、3社で、業界全体としては、厳しい状況の様ですが、その中でも、成長の期待のある例外企業を探す事がポイントだそうです。
その例外企業は、スマホ分野で、アルプス電気、自動車分野で、マブチモーター、その他としては、TDK、ミネベアです。
●スマホ1台あたりの部品売上高が大事
スマホ市場は、明らかに市場の伸びが頭打ち傾向にありますが、電子部品業界では、スマホ1台にどこまで、自社の部品が組み込まれるかが重要で、例えば、カメラに手ぶれ防止機能が組み込まれるかどうかで、電子部品メーカーの売上高は、大幅に違ってきます。
そこで、1台当たりの売上高が期待できるのが、アルプス電気で、これまで、カメラのズーム機能を担う、カメラアクチュエーターが業績をけん引してきましたが、2016年度以降は、手ブレ防止機能付きのカメラアクチュエーターの採用比率が高まり、ハプティックモーターやセンサーも業績に貢献してくると予想しているそうです。
アルプス電気の株価は、基本ケースで、2,600円を上回っていますが、手ブレ防止機能付きのカメラアクチュエーターが、北米スマホのみならず、中国スマホのハイエンドモデルにも採用が進めば、強気ケースの3,250円も視野に入ってくるそうです。
●進む自動車の電子化
自動車も一台あたりに組み込まれる電子部品の伸びが重要で、特に近年は、自動車の電子化が進み、電子部品が活躍する場面が増えてきています。
この分野においては、マブチモーターの売上高の伸びが続くと予想しているそうで、自動車の電子化は、サイドブレーキにもみられており、今では、ボタンを押すだけで、サイドブレーキがかかる車が増えています。
マブチモーターは、このボタン式のサイドブレーキのモーターにおいて、世界で、60%のシェアを誇っているそうで、マブチモーターの株価は、基本ケースで、6,000円で、ボタン式のサイドブレーキのモーターのみならず、パワーウィンドウ用モーターのシェア上昇など、自動車用モーターの売上高増加が、中長期で増加すると予想しているそうです。
TDKは、スマホ用高周波部品事業を、米国クアルコム社と、設立する合弁会社にカーブアウト(事業を切り出す)予定で、スマホへの依存を下げ、自動車や産業機器などに、経営の重心をシフトして行く戦略です。
TDKの目標株価は、基本ケースで、8,100円で、二次電池の業績拡大と、米国クアルコム社から得られるキャッシュを、成長事業に投資することで、中長期での収益拡大が続くと予想しているそうです。
ミネベアは、ミツミ電機を経営統合する予定で、経営統合により、ミツミ電機の業績が改善されると予想しており、中長期で期待のできる銘柄だそうです。
ミネベアの目標株価は、基本ケースで、1,300円で、ベアリングなど、機械加工品の収益の安定の拡大と、ミツミ電機の経営統合効果で、中長期での収益拡大を予想しているそうです。