2019年11月5日の「日経プラス10」で、楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジストの窪田 真之さんが、下記の内容について話されていました。
裁定買いは、先物を売って現物を買う事で、裁定売りは、先物を買って現物を売る事ですが、投機筋が先物を買い上げたところで、割高になった先物を売って、現物を買うと言う行為により、日経平均株価が上がっている様です。
窪田 真之さんは、ファンドマネージャーの時に、先物を売買する時に注目していたのが、裁定買い残高だったそうですが、裁定買い残高を2007年から2019年までを見ると、裁定買いが増えると、裁定買い残高が増えて、日経平均株価が上昇しますが、裁定解消売りが出ると、裁定買い残高が減って、日経平均株価が下がる事になります。
過去の値動きを見ると、裁定買い残高が、5,000億円位まで減ってしまうと、減り過ぎと考えられている様で、その後は、増加に転じる事が多いとの事です。
その為、日経平均株価も、裁定買い残高が、5,000億円位になると底になり、上昇に転じる事が多いそうです。
リーマンショックの時の2009年直後も、ブレクジットショック(イギリスのEU離脱選挙)の2016年の時も同様の動きだった様で、今回も裁定買い残高が、10月25日に5,729億円まで減ったので、経験則的には、ここから裁定買いが増えて、日経平均株価が上昇して行くと考えられます。
裁定売り残も、1兆3,686億円もあるので、先物の買い戻し圧力がでる可能性が高い様です。
投機筋が先物を買って、先物価格が割高になり、現物価格が割安となる事で、裁定業者は、先物を売って、現物を買い戻し、裁定買い残高が増える事になるので、裁定買い残高が多いと言う事は、投機筋が先物を買い立てている事になります。
これまでその裁定買い残高が減ってきたと言う事は、投機筋が弱気になり、先物の買いポジションをだんだん減らしてきた事で、裁定買い残高が減ってきたそうです。
裁定売り残が、1兆3,686億円まで上昇したのは、投機筋が日本株に対して、ものすごく弱気になった事で、裁定買い残高を減らす事だけではなく、先物の空売りも仕掛けていた様です。
投機筋が先物の空売りを仕掛けると、先物価格が割安になり、現物価格が割高となる事で、裁定業者は、先物を買って、現物を売り戻し、裁定売り残高が増える事になります。
直近では、空売りを積み上げていた投機筋が、含み損が出てきたので、買い戻しを急いだ為に、株価が上昇しているとの事です。
経験則的には、裁定売り残高が、裁定買い残高よりも8,000億円位多いので、この8,000億円を解消する位は、先物の買いが入ると考えられるそうで、日経平均株価は、年末には、25,000円位まで上昇する可能性もある様です。