2016年7月19日のワールドビジネスサテライトに、2日前に半導体設計の世界大手の英アーム社を買収すると発表したソフトバンクグループの孫正義社長が生出演されていました。
昨日ソフトバンクグループの株価が、東証1部の下落1位になり、10.3%のマイナスとなりましたが、市場関係者として、出演された岩井コスモ証券の林卓郎さんの話では、「ソフトバンクは、携帯電話の周辺事業や社会インフラに関わる事業を進めてきたが、半導体の設計を行う会社は、かなり趣が異なる企業なので、シナジー(相乗)効果が孫社長の思惑通りに得られるのか、市場は、懸念を持っている」と言われていました。
その事について孫社長は、「今までソフトバンクが大きな勝負に出る時は、毎回株価は下がっており、これはいつもの事で、しかし、一度下がった後は、株価は上昇しているので、もし、ソフトバンクに興味のある人は、今が買い時でしょう」と言われていました。
アーム社は、主要事業が、半導体設計で、製造はしていないが、製造会社にライセンス供与省電力技術に強みがあり、インテルと市場を2分している。そして、パソコンはインテルがシェアを持っているが、スマホ用やタブレットでは、アーム社が9割のシェアを持っている。
年間の売上高は、2015年12月期は、約1350億円で、買収金額は、3.3兆円なんで、売上高の20倍で買収したが、孫さんの感想では安かったそうです。
今後、ソフトバンクの中核は、携帯ではなく、半導体分野になって行くと言われていました。
■孫さんの考える今後の世界
「我々は、一貫してインターネットのビジネスをやっており、アーム社が持っているのは、インターネットの根源になる役割を担っている会社で、これから、IOT(インターネットオブシングス)で、全ての物がインターネットに繋がって行く、今までは、人がインターネットに繋がっていたが、今後は、人と物、物と物が全部インターネットで繋がっていく、そのIOTの分野の一番主役になる会社がアーム社である。」
「今から30年も経てば、地球上の人口と同じ位のロボットが生まれると思うので、自動車も全部動くロボットになる。ロボットは、空を飛んだり、海を泳いだり、走ったりと色々あるが、ロボットだけでなく、牛や羊もインターネットに繋がり、放牧などをしている場合に、その家畜がどこにいるか首に付けたインターネットに繋がる媒体で、管理する事ができる様になる。動物や街の中の全てがインターネットに繋がる時代が来る、その時の主役がアーム社である。」と話されていました。
■今まで、アーム社が買収されなかった理由
「アーム社が買収されなかったのは、直接相乗効果を生み出せる会社(例えば、アーム社の製品を使っているアップル社、デル社、サムソン社)は、独禁法上買収する事は不可能で、これは各国の政府が許さないので、買える会社は、直接シナジーが見えにくい会社である必要があり、しかもこれだけ、プレミアムの料金を支払うと言った会社は、ソフトバンクしかない。」
「今回の買収は、IOT時代のプラットフォームを取りに行った。日本の会社は、世界の9割ものプラットフォームを持った経験は一度もない。日本の会社は、そのプラットフォームの一部のアプリケーションや部品を開発していたので、日本の人達には今回の買収のイメージがわかない。」
■アーム社買収を初めに考えた時期
「アーム社には、10年前から目を付けていた、そして、スティーブジョブスに会いに行った時に、アップルは、このアーム社をベースにした形で、iphoneを設計をしていた、そして、グーグルもアームベースで、Android端末を作ったので、90%以上が、アームベースのスマホになってしまった。アームは、インテルの10倍チップを出荷している。」
と言う内容でした。日本でこの様な買収をできる能力のある方は、孫さんだけではないでしょうか。凄い社長さんです。
ソフトバンク「史上最高3.3兆円買収」の賭け | インターネット | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
【社説】ソフトバンクの英ARM買収、EU離脱への意味 – WSJ