2018年10月1日の「日経プラス10」で、野村證券チーフエコノミストの美和 卓さんが、下記の内容について話されていました。
9月は、本当に良く株価が上昇しましたが、投資家の間でも、様々な説があり、株価の上昇は、謎とされているそうです。
美和 卓さんが話された投資家の間では、下記の4つの説が考えられるとの事です。
1.円安
株高と同時に円安になったので、輸出と企業業績の回復が期待されて、株価上昇。
2.金利上昇
アメリカの金利が上昇したので、銀行株や、金融株が有利になるので、日本株への買い戻しに繋がった。
3.貿易戦争緩和
米中の貿易摩擦は続いていますが、山場は越えて、今後は緩和に向かうと言う期待。
4.中国政策期待で資源高
これは、3番目とは逆で、米中の貿易摩擦が、まだ激しいので、中国が政策を打ってきて、それに伴い資源価格が上がりはじめて、それが株高の後押しになった。
この4つの説を、東証一部17業種の9月の月間騰落率で、確認してみると、17業種とも上がっていますが、円安になると株価が上がりやすい自動車・輸送用機器(約5%上昇)や、電機・精密(約4.5%上昇)などは、TOPIX(東証一部全体:約6%上昇)にパフォーマンスは、負けているので、円安の要因では無いと、考えられるそうです。
そして、アメリカの金利上昇でも、銀行株(約5%上昇)は、TOPIX(東証一部全体)にパフォーマンスは、負けています。
貿易戦争ですが、日本の自動車が標的になっているので、緩和しているのであれば、自動車・輸送用機器(約5%上昇)がもっと上がっても良いので、貿易戦争緩和が要因では無いと、考えられるそうです。
エネルギー・資源(約12%上昇)が、TOPIX(東証一部全体)よりも上がっていて、更には、資源価格の値上がりに敏感に反応しやすい商社・卸売(約8.5%上昇)や、鉄鋼・非鉄(約8%上昇)の株価が上がっているので、9月株高の本当の要因は、中国の政策期待によるものと考えられるそうです。
しかし、中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)を見ると、50と言う景気の善し悪しの境目まで、下落しているので、政策期待はありますが、中国の実際の景気は、良くない様で、この製造業購買担当者景気指数(PMI)が、上向いて来ないと、期待による株価の上昇も続かない可能性があるとの事です。