2019年4月11日の「日経プラス10」で、JPモルガン・チェース銀行の佐々木融さんが、下記の内容について話されていました。
今までは、円安方向に行くと、すぐに落ちて円高になっていましたが、アベノミクス以降は、ドル円の均衡レート(適正レート)から離れた、歴史的な円安水準のまま動かなくなっていますが、今後も円高方向には、なかなか向かわない様です。
円高になりにくい理由の一つ目は、よくリスクオフになって、円が買い戻される事がありますが、それは、元々、海外勢が、円をリスクオンで投機的に売っているので、リスクオフになると、円を買い戻す事となり、円高になるのですが、今は、海外勢の円の投機的な売りが少ないので、買い戻しも少なくなってきている様です。
2つ目は、日本の国内勢の大規模な対外投資が増えているそうで、それにより円安圧力が強くなっている様です。
円売りを伴う外貨建て証券投資を見ると、2018年は、19.6兆円と、非常に高くなっていて、この中のかなりの部分が、外国債券投資を行っている様で、2016年、2017年、2018年と、どんどん外国債券投資が増えているので、国内勢の円売りが多くなっているとの事です。
2016年以降に外国債券投資が増えている理由は、日銀がマイナス金利を導入して、日本の長期金利が下落したので、長期金利が落ちたばかりの時は、まだ良いのですが、だんだん持っているクーポンが付いている日本の国債が期限がきて、償還される事により、円を手元に持つ事となります。
しかし、投資するには、今の国債のレートが低すぎて、投資できないので、外債投資がどんどん増えてきている様です。
この様に、外国人が円の買い戻しを行わなくなったり、日本からの円売りが増えている事が、円高になりにくい状況を作っているとの事で、今後もこの傾向は続く様です。