2016年7月2日のマーケット・アナライズplus+で、大和証券チーフ・クオンツ・アナリスト吉野貴晶 (よしのたかあき)さんが、下記の内容について話されてました。
PER(株価収益率)及びPBR(株価純資産倍率)は、過去の実績から見ると、5年から10年の長期投資を行う場合には、良い指標で、単純にPER及びPBRが低い銘柄に投資すると収益が得られる。しかし、PER及びPBRは、経済環境や投資環境により、上手くいったり、上手くいかなかったりする場合があり、1年から2年の環境で考えると、今は、ROEが良い銘柄がバリエーションが高くなって、良く買われてしまうので、PER及びPBRには適さない環境である。
PER(株価収益率 = 株価 ÷ 一株当たり当期純利益)投資でうまくいかないパターンは、バリューのトラップ(罠)で、株価が下がってしまって、利益が変わらなければ、PERは割安になる。しかし、その後業績が下がってしまうと、PERは割安だと思っていたのに、またPERが高くなってしまう。これを防ぐ環境は、株価が下がった後で、利益自体が持ち直して行く事が重要である。つまり、景気回復場面でないと役に立たない。景気回復していく場面では、景気が一旦落ち込んだ銘柄ほど、業績のリバウンドが起こりやすくなりやすいので、バリュートラップが起きにくくなる。
PBR(株価純資産倍率 = 株価 ÷ 一株あたり純資産額)で最も重要なのは、純資産評価の信頼性で、デフレ脱却で、期待インフレが高まっている時は、資産の価値自体に信頼性が高まるので、PBRは有効になる。しかし、デフレ環境下では、持っている資産の価値が下がってしまうので、信頼性が低くなる。