2017年12月21日の「ワールドビジネスサテライト」で、「ICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファーリング)」の話題がありました。
ICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファーリング)の仕組みは、資金を集めたい企業は、トークンと呼ばれる独自の仮想通貨を作り、投資家が気に入った企業のトークンを、仮想通貨を使って購入します。
この購入したトークンは、企業の事業が成功すると、価値が上昇し、それを売ることで、投資家は利益を得ることができます。
仮想通貨の価値は、今年急激に値上がりしましたので、株式を発行するよりも、ICOの方が資金を集めやすいと、判断している企業も多いそうです。
12月19日に東京の恵比寿で行われた、ICOへの投資セミナーに参加された投資家の伊藤健次さんの話では、今年から積極的にICOへの投資を行っているそうですが、1年前に200万円を、ICOを中心に投資し続けた結果、資産は1億円を超えたそうです。
ICOは、すごく短いスパンでブームになったので、これに乗り遅れたら、もったいないと考えたそうで、会社も辞めてしまったそうです。
ビットコインなどの一般的な仮想通貨は、流通量は多いですが、発行者が存在しない、実体の無い通貨で、これに対して、ICOへの投資は、発行者が、実体のある企業で、存在するため、それが、魅力のひとつだそうです。
仮想通貨市場が急拡大した今年、仮想通貨で資金を集めるICOを行った企業は、急増しているそうで、2017年12月は、252件あったそうです。
8月にAI(人工知能)を使ったベンチャー企業「Daisy」を立ち上げた大澤昇平CEOの話では、技術者や開発費の資金調達が、最大の課題となっていて、今回ICOでの資金調達する事を決めて、その準備作業を支援する企業の「AnyPay」を訪問していました。
仮想通貨を持つ人の中には、IT技術の知識が豊富な人も多く、IT企業にとっては、株式公開よりも、資金を集めやすい環境になっている様です。
加熱するICOは、投資家にとって、高い利益を期待できる一方で、リスクも大きいそうで、実態のない事業で資金を集めて、詐欺の疑いで摘発されたケースもあるとの事です。
仮想通貨市場を監視する金融庁総括審議官の佐々木清隆さんの話では、ICOの前提になっている事業計画が実現しないとか、場合によっては、詐欺だとか、投資家保護の枠組みが十分整備されていないというリスクがあるそうです。
中国では、9月にICOを全面取引禁止となっており、日本では、法規制の前に、業界団体の自主規制や、マーケットとしての規律の方が有効で、迅速に対応できると考えており、金融庁としては金融のイノベーションを促進するのが大事だそうですが、投資家保護の担保もされる必要があるので、そのバランスを取っていく予定だとの事です。