2018年3月23日の「日経プラス10」で、楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジストの窪田 真之さんが、下記の内容について話されていました。
トランプ政権が、中国への制裁措置を発表した、3月22日のNYダウ平均株価は、724ドル下落と、過去5番目の下げ幅となり、3月23日の日経平均株価は、974円の下落と大幅に反落しました。
相場の調整が長引くとの懸念から、一時は下げ幅が千円を超す場面も見られ、終値は、五ヶ月ぶりに、2万1,000円を割り込んで、974円安い、2万616円で終わりました。
この大幅の下落の直接的な要因は、米中の貿易摩擦に対する懸念ですが、それだけではなく、いくつかの複合要因があり、この調整が長引く可能性もあるそうです。
1.貿易摩擦
アメリカが対外強硬策を出してきているだけではなく、次々と政権の要職にある人物を解任している事で、アメリカの政治の混迷も、不安材料として含まれるそうです。
2.ファイスブック・ショック
これまでは、貿易摩擦の影響を受けにくい、高収益のアメリカのIT大手が、アメリカ株を牽引していましたが、ファイスブックへの批判が高まって、フェイスブックの株価が下落してきたのが、別のショックとの事です。
3.金利上昇
アメリカの利上げが、これからも続くとの事で、アメリカの金利の上昇で、株の下落の懸念があるそうです。
4.円高
日本株の場合は、円高要因で下落しているそうで、2018年3月期の業績は好調ですが、今の為替レートである1ドル105円近辺が続くと、来期の業績の伸び高が、大幅に鈍化する可能性があるそうです。
3月22日のNYダウ平均株価の下落率は2.9%で、中国株も3.4%の下落で止まっているのに、震源地や当事者の国よりも、日経平均株価は、下げ幅が大きく4.5%下げてしまった要因は、グローバル運用をしているヘッジファンドは、世界で何かリスクが発生すると、日本株は、世界景気敏感株で、更に、世界の政治不安敏感株なので、グローバル・ポートフォーリオのリスクを落とそうと思うと、一番最初に、日経平均から売ってくる傾向があり、今回もその様な展開となっていますが、もし、不安が解消すれば、日経平均が一番大きく、買い戻される可能性がある様です。
今は、リスクオフの日本株売り、円買いで、ダブルパンチを受けている状態だそうです。
今後の株価の展開を考えると、長期投資の視点では、日本株は買場と考えられるそうですが、長期の判断と、短期の判断は分ける必要がある様です。
今回は、複合ショックになっていて、米中の貿易摩擦だけではないので、長引く可能性があり、今回の大きなポイントが、ファイスブック・ショックで、アメリカ株の動きを、指数化して比較すると、2月から米国株が下げた事により、日経平均株価も大きく下げました。
その後の戻り局面を見ると、日経平均株価が一番大きく下げていて、NYダウがその次で、アメリカのナスダックが一番強く、3月の中旬には、一時史上最高値を更新していました。
これは、アメリカのIT大手のフェイスブック、アマゾン、グーグルなどは、世界の貿易戦争の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄で、高収益と言う事で、買いが集まって、それが、アメリカ株の反発を牽引していたのですが、フェイスブックショックで、フェイスブックの株価が下がってきた事と、ヨーロッパで、アメリカのIT大手に、独自の課税をすると言う話が出てきて、貿易戦争の道具に、アメリカのIT大手も巻き込まれるそうです。
その為、アメリカのナスダック株の下落が長引く様だと、今回の下げは長引くそうで、もし、ナスダックが直ぐに上昇する様であれば、全体の戻りも早いと考えているそうです。
短期的には、日経平均株価は、2万円位まで下がるリスクがあるそうですが、長期投資から考えると、日本株は非常に割安になっているし、収益基盤も非常に良くなってきているので、長期投資としては、良い買場だと思っているそうです。