2017年8月8日のNewsモーニングサテライトで、REIT市場調査が専門のSMBC日興証券の鳥井裕史さんが、下記の内容について話されてました。
東証リート指数は、2015年に高値を付けて以降軟調な動きですが、特に4月以降の下落は、金融庁の森長官が、「福利効果のない、毎月分配型投資信託は、顧客本位ではない」との指摘があり、J-REIT(不動産投資信託)の特化型投資信託から、資金流出となったそうで、最近は、流出に歯止めはかかっていますが、引き続き、資金流出動向については、注意を払う必要があるそうです。
リートは、そもそも、キャピタルゲイン(値上がり)よりも、分配金が魅力の投資信託ですが、現在のJ-REIT(不動産投資信託)市場の分配金利回りは、10年国債を、4%上回っている状態で、リーマンショック後の市場混乱期を除くと、この水準は、かなり高いと言えるそうで、割安感が高まっているとの事です。
長期的な視点で見ると、東証リート指数と、TOPIXのパフォーマンスを比較すると、ほぼ同じ動きですが、配当込みのトータルパフォーマンスで見ると、東証リート指数の方がかなり上回っているそうで、J-REIT(不動産投資信託)を長期間保有して、分配金を得る事で、高いリターンを実現してきた事は事実なので、今後も同様だと思っているそうです。
J-REIT(不動産投資信託)は、タイプ別に、住宅型、商業施設型、ホテル型、総合型(3種類以上)、オフィスビル型、物流施設型、ヘルスケア施設型、複合型(2種類)ありますが、これから投資するのに良いのが、中堅のオフィスビル型で、東京のオフィス空室率は、2012年から回復傾向になっていて、都心5区の賃料も2014年前半から上昇に転じているので、今後もJ-REIT(不動産投資信託)が保有している物件の賃料増額というのは、確実に実現されると見ていて、企業のオフィス拡張ニーズは、非常に強く、2018年以降の大量供給には、注意が必要ですが、悲観的には見ていないそうです。
オフィスビル型のJ-REIT(不動産投資信託)には、規模が色々ありますが、あえて中堅のオフィスビル型に限定してるのが、タイプ別の分配金利回りを比較すると、大型オフィス型リートは、既に資金が流入していて、分配金利回りは低くなっていて、景気に左右されない住宅型リートに比べても、中堅オフィスビル型リートの利回りは、非常に高水準で推移しているそうです。
この中堅オフィスビル型リートの注目銘柄は、下記の3つです。
「アクティビア・プロパティーズ 3279」、「ケネディクス・オフィス 8972」は、賃料上昇によって着実に分配金が実現していて、特に、「アクティビア・プロパティーズ 3279」は、渋谷、恵比寿に重点的に投資しているので、賃料上昇率が非常に高いそうです。
「インベスコ・オフィス・ジェイリート 3298」は、分配金利回りが高水準で、割安感が大きい事に加えて、6月にJ-REIT(不動産投資信託)市場初の自社株買いを実施しているので、この点についても注目しているそうです。
物流施設型や、ホテル型については、需要は非常に強いそうですが、供給増加が懸念されていて、実際は、物流施設型の賃料収入というのは、長期契約で安定的ですが、過度な期待は、禁物だそうです。
ホテル型に関しては、ホテルの売り上げや利益に、賃料収入が連動するので、リスクは、他のタイプに比べて高いそうで、更に、供給増加により、2016年半ばより、ホテルの宿泊単価も調整傾向なので、楽観視はできないそうです。
「アクティビア・プロパティーズ 3279」の投資判断は、三菱UFJモルガンスタンレー証券は強気、大和証券2(5段階評価の上から2番目)、みずほ証券は買い、野村證券は買いとなっているそうです。
「ケネディクス・オフィス 8972」の投資判断は、みずほ証券は、買い、大和証券2(5段階評価の上から2番目)、野村證券は中立、ドイツ証券は、足元の業績等は、特段問題ないとしながらも、オフィス市場は既に悪化の局面に入ったと見て、売りとしているそうです。
リートにとってのリスクは、長期金利の上昇で、日本銀行が、金融緩和政策を行っている限りは、長期金利の上昇の懸念はないですが、財政懸念などで、中長期金利が上昇すると、支払利息の増加で、分配金が下落したり、リートの分配金利回りの上昇での価格下落が懸念されるそうです。その為、日銀の政策が変わる時は、注意が必要だそうです。